交差

 

 

赤信号を見ている時間というのは、人生の中にどれくらいあるのだろう。
青信号を見つめながら歩く人は少ないだろうけど、
赤信号をぼんやりと見つめながら待つ人は、きっとそれなりにいる。
その時間は、考え事をするには短すぎるけど、物思いにふけるにはちょうどいいのだ。
超特急で変わっていく世界のなかで、待つことはおくびょうだと言われてしまう。
嵐の中を進み続ける力が足りず、倒れ込んでしまうこともある。
そうした後ろ向きな自分を肯定できる瞬間が、いつかあなたに訪れますように。
そう願って一緒に立ち止まってくれる人が、いつかあなたの隣に現れますように。
信号が、変わる。